羊の毛から取れるウールはもともと衣料に適した多くの機能を持ち、
美しさや肌触りに優れており全国の学校制服に使われています。
しかし、ウール100%の制服は家庭洗濯すると縮んでしまうため、
クリーニングに出す必要があります。
また、制服は長時間・長期間の着用を前提にしているため、
家庭で洗濯できるようにするには、ポリエステル等の合成繊維を
適切に配合して耐久性を増す必要がありました。
3年間1着で過ごす学校制服には着心地の良さはもちろん、
「家庭で気軽に洗えて、型崩れせず、シワも気にならない」ニーズが
重視されるようになっています。
これまでも様々な学校制服生地を開発してきましたが、
「ウールの良さ」と「十分な耐久性」を両立するものとは言えませんでした。
どちらかを取ればどちらかが犠牲になる、
この二律背反に取り組むことは、
「ウールのニッケ」にとって必然の課題でした。
2011年より、ウールの「柔らかさ」や「ふくらみ」といった持ち味を生かしながら、
強度も向上させる原糸開発を進めてきました。
数多くのサンプル品と着用試験による試行錯誤の結果、プロトタイプが完成。
「よく伸びてへこたれない」「そのまま洗える」「毛玉ができにくい」など多くの長所を持つ糸によって、
天然繊維ウールの特長を最大限に活かしながら、家庭洗濯や耐久性を兼ね備えた、
これまでにない学校制服生地が生まれました。