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ニッケのミッケ!

制服ができるまで➂ ~ニッケの一宮工場編~

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今回のニッケのミッケさん

衣料繊維事業本部 販売統括部 ユニフォーム部 スクール第1課たなか田中

制服の生地販売を行っています。様々な学校へ訪問し、先生方と制服に関する情報共有をしたり、ESD教育に関する出前授業の講師や課題解決型学習の協力も。

制服はどのようにして作られるの?

学生の皆さんが着ている制服はどのようにして作られるのでしょうか?

制服は学生の皆さんにとって身近で毎日着るものですが、生産過程は普段あまり知る機会ってないですよね。自分たちの着ている服がどこで誰がどのようにどんな原料で作られているのか。それを知って学ぶことはESDに繋がります。

今回のニッケのミッケ!では岐阜工場で作られた糸が愛知県にある一宮事業所で加工される工程をご紹介します。

2本で「撚り」をかけて「より」強い糸に!

制服は学生の活発な3年間を支えるアイテムです。そのため制服には高い耐久性が求められますが生地の強度を高めるには「強い糸」であることが重要です。岐阜工場で作られた糸は愛知県一宮市にある工場に送られ、1本の糸を2本にする「合糸(ごうし)」を行います。これにより糸の強度を高めることが出来ます。

その後2本の糸を合わせて撚りをかける「撚糸(ねんし)」が行われます。前回のニッケのミッケ!岐阜工場編でもご紹介しましたが、撚りをかけることで糸が引き締まり、合わせた糸がほどけなくなります。

制服の生地の多くは2本の糸である「双糸(そうし)」からなっていますが、まれに3本の糸からなる「三子撚り(みこより)」、1本の糸のままの「単糸(たんし)」が使われる場合もあります。糸の太さ、品質、撚りをかける強さや方向によって制服の機能性や着心地が大きく変わってきます。「糸」は「生地」の特性を決定する上でとても重要なものなのです。

色とりどりな柄は糸染めにお任せあれ

チェックやストライプ、華やかでカラフルなスカートやスラックスなどバラエティ豊かな制服を見かけることがあると思います。そのような制服は今回ご紹介する「糸染め」で染められているかもしれません。

ニッケのミッケ!岐阜工場編では原料の状態で染められる「トップ染め」や「バラ染め」をご紹介しましたが、それらとは違って糸染めでは「少ない量でも染めることが出来る」というメリットがあります。一度に大量に染められたほうがいいじゃないか!と思うかもしれませんが柄物にはアクセントカラーとして色糸が少しだけ入っていたり、たくさんの色糸が少量ずつ組み合わさって柄ができていたりします。

そのような、使う量が少ない場合や多色づかいの柄を作る際に用いられるのが糸染めというわけです。 糸染めでは糸を下の写真のようにセッティングして釜の中に入れて染めていきます。

「織る」と「編む」の違いってなんだろう?

織物と編み物では根本的に作り方が違います。編み物は1本の糸から編立てを行っていきます。原理的には1本の糸で輪を作りそれをつないでいって布にしていくので、輪がスプリングの役割を果たし出来上がった布はよく伸びるのが特徴です。ジャケットの下に着るセーターや体操着のジャージーなどは「編み物」の1種です。

一方で「織物」は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を組み合わせて作っていきます。糸が交差して出来上がっているため、丈夫で破れにくく制服など耐久性が必要な服にはピッタリな作り方です。

整経(せいけい)で糸の準備

生地は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)からできていますが、糸を機械にセットすればすぐ生地になるのかというと実はそうではありません。

糸から生地にする機械を織機(しょっき)というのですが、織機(しょっき)にセットする前にまずは経糸(たていと)の準備が必要です。この工程を整経(せいけい)といいます。

糸を指定の長さ、幅に整える工程。指定の場所に手作業で糸をつなげていく

柄物の生地を作るための整経(せいけい)工程は特に大変で、糸をかける位置を間違えてしまうと完成したときに全く別の柄になってしまいます。この糸を機械にセッティングする作業は人が手作業で行っており、とても大変な作業です。(私も実際に経験しましたが、とても体力が必要な作業でした…)

ですが、皆さんの制服の様々なデザインに対応するため、丁寧に時間をかけて行われています。

こうして下の写真のような「ビーム」と呼ばれる棒に必要な長さ分巻き取っていきます。

長さは作られる生地の必要数に応じて決まっていて、多くの生地が必要な場合は経糸(たていと)も長くなり、このビームがどんどん太くなっていきます。重さは数百㎏ほどあるため、機械を使って運んでいきます。

まだまだかかる経糸の準備

さあ、やっと経糸(たていと)ができた!と思いますが織機(しょっき)にセットするためにはまだ準備が必要です。機械にセットしたときに糸が指定の配列通りに進んでいかないといけません。そのため糸の通り道をセッティングする部品が必要です。

また、生地を織っている途中で糸が切れてしまうことがあります。これに気づかずに織機(しょっき)が動き続けると生地にキズができてしまいます。それを防ぐための安全装置の役割を果たす機器をセットする必要があります。

糸は1本1本通り道が決まっており、正しい道を通らないと柄にずれが生じたり、生地にキズができてしまう

そうした部品を経糸(たていと)にセッティングしてようやく整経(せいけい)工程終了です。

緯糸(よこいと)はというと、経糸(たていと)ほどの準備は必要ありませんが、生地がタテとヨコで共通の糸で作られている場合は経糸の準備で余った糸を最適な長さに巻き直して使っていたりもします。

まとめ

〇制服の生地に使われる糸は2本の糸からなる「双糸(そうし)」が多く双糸にして撚りをかけることで強度が増すので生地の耐久性も高くなる。

〇「糸染め」は量が少なくても染めることができ、柄物の生地を作る際に用いられることが多い染め方である。

〇糸が完成し、生地を織り始める前に経糸の準備が必要。経糸を準備する工程は「整経(せいけい)」という。

今回のニッケのミッケ!では糸が加工され、生地を織る直前の工程までをご紹介しました。次回はいよいよ「糸」が「生地」になる工程をご紹介いたします!

お楽しみに!

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