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制服 × ESDのトビラ

生徒主体で制服×SDGsの可能性を考える「課題解決学習」大阪市立野田中学校

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今回は、子どもたちの主体性向上に力を入れている大阪市立野田中学校です。企業から設定されたミッションに対する解決策を考え、プレゼンするグループワーク「課題解決学習」を行っています。課題解決学習の狙いはもちろん、課題の一つとしてニッケが提供した「制服がどのようにSDGsに貢献できるか」という課題への取り組みから子どもたちにどのような変化があったかをリポートします。

Teacher’s Voice1 「崩される」体験が社会で活かせる力になる

福田先生:課題解決学習は2015年度から1年生を対象に、課題提供・説明から中間プレゼン、最終プレゼンを約半年にわたって行うグループワークです。私は家庭科の教師ということもあり、衣服に関する課題に取り組ませたいと考えていました。そこで、ニッケさんに協力を依頼し、課題として「制服がどのようにSDGsに貢献できるかを考えてみよう」を提供していただきました。課題は、より実践的なものにしたかったのと子どもたちに社会や地域とのつながりをもってほしいと考え、毎年さまざまな企業に提供していただいています。自分たちで考えた内容を中間プレゼンで企業の方に崩される体験をしてほしいという狙いもあります。社会に出ると、「崩される」ことが多くありますが、子どものころってなかなかそういった機会に出会うことって少ないですよね。「崩される」体験を原動力に、プレゼン内容はもちろん、へこんだ気持ちを軌道修正することは、社会に出てから必要な力になると思います。

Teacher’s Voice2 野田中の子どもたちは否定しない

福田先生:子どもたちにとっては、広いテーマだったこともあり、最初のグループワークでは、戸惑いやどこから手をつけたらいいか分からない様子でした。そこで、まずは制服に興味をもってもらおうと、洗濯タグを見て素材やどこで作っているのかを確認するように声をかけました。野田中の子どもたちは、出た意見に対して否定しない子が多く、意見が言いやすいようで、一度意見が出ればみんな楽しく話し合いを進めてくれます。この年代で自分とは違う考え方や意見を否定せず、受け入れることができるのは、すごいなと感心します。

Teacher’s Voice3 主体的に取り組んだからこそ得た自信と知識

福田先生:最終プレゼンは、どのチームも印象に残っています。広いテーマだったからこそ、チームごとに異なる解決策が出ました。子どもたちって、先生の手助けなしでここまで調べて資料をまとめることができるんだ、と成長を実感しましたし、プレゼンを終えて自分たちが主体的に取り組んだという経験は、子どもたちの自信にもなったんじゃないかなと思います。実は、この課題解決学習が始まった段階では、家庭科で衣服について教えていなかったんです。なので、子どもたちが自分で調べた内容が衣服に関する最初の知識。課題解決学習を終えた今でも、繊維の名前や特長を覚えている様子を見ると、やっぱり自分で得た知識って頭に残るんだなと思います。

Teacher’s Voice4 家庭科=SDGsであることを子どもたちに伝えたい

福田先生:今回、課題解決学習のテーマとしてニッケさんにご協力いただき、子どもたちにとって身近な制服を取り扱いましたが、私は1年生の最初の家庭科の授業で、「生活すること自体がSDGs」と子どもたちに伝えるようにしています。衣食住について学ぶ家庭科そのものがSDGsなんじゃないかなと。だからこそ子どもたちには、身近な衣服である制服を通じて、着心地をよくするために手入れをしっかりしたり、取れたボタンを付け直すといったことにもっと興味をもってほしいですし、授業で教えた際は家でもやってみるよう声をかけています。今回の課題解決学習が、衣服そのものへ興味をもつきっかけになったらいいなと思います。

Student’s Voice1 「制服がどのようにSDGsに貢献できるか」を課題に選んだ理由

生徒Aさん:将来、服にまつわる仕事(デザイナー・スタイリスト)をしたいと思い、色々知りたかったからです。

生徒Bさん:テーマとなる業種や企業を調べた中で、一番気になりました。

生徒Cさん:家庭科部でもともと繊維に興味があったので、挑戦したいと思いました。

生徒Dさん:服に関する知識がなかったので、この機会に知りたいと思ったからです。

生徒Eさん:僕も親に服を買ってもらっていて、自分で意識して服を選ぶことがなかったので、服に興味をもつきっかけにしたいと思いました。

Student’s Voice2 課題解決学習を通して学んだことや印象に残っていることを教えて!

生徒Eさん:元々服が捨てられていることは知っていたけど、こんなにいっぱいだとは思わなかったので、廃棄量に驚きました。あとは、服を選ぶときにこれは何の繊維なのか考えたり調べるようになりました。

生徒Aさん:私たちのプレゼン内容が、SDGs17の目標の中の「9. 産業と技術革新の基盤を作ろう」を解決するために、ウールと天然繊維を合わせて新たな生地をつくって、ポリエステルの使用量を減らすことだったので、いろんな繊維の種類と特長を知ることができました。

生徒Dさん:繊維の特長の中でも、ニッケさんから中間プレゼンのときに「それぞれの繊維を使うことによる環境負荷も調べてみたら?」というアドバイスをもらって、生地を作るにも環境負荷がかかることを知りました。

生徒Cさん:大変だなと思ったのは資料づくりです。ですが、冬休みも資料づくりをしたり、つくった資料をみんなで意見を出し合って仕上げることができました。

生徒Bさん:答えがない問題だから最初はどうしたらいいか分からなかったり、どうしたら課題が解決できるのか具体的な案が思いつかなくて、大変だったけど、みんなで意見を出し合ったり、ニッケさんからアドバイスをもらって、まとめることができたことです。

POINT

「崩される」体験から成長する

子どもたちにとって経験することのあまりない、考えた内容を「崩される」ことは、社会に出ると大いにあります。自分たちが主体的に考えプレゼンした内容を「崩される」ことは、「崩される」こと自体ももちろんですが、そこから立ち直る過程も含めて座学では学ぶことができない人生の勉強にもなります。

SDGsの入口は身近なものから

今回、ニッケは課題解決学習の課題として「制服がどのようにSDGsに貢献できるか」を子どもたちに考えてもらいました。制服などの子どもたちにとって身近なものを扱うことがSDGsや環境問題について子どもたちに興味を持ってもらうための入口になります。

家庭科、そして生活することがSDGs

SDGsは特別なものではないことを家庭科を通じて子どもたちに知ってもらいたい、そのためにはまず生活に興味を持ってもらいたいという福田先生の想い。授業で学んだことを知識として留めるのではなく、生活するための力として活かせるような授業構築を行っているそうです。

今回取材させていただいた『大阪市立野田中学校』

1947年開校。子どもたちが主体的に作り上げる学校行事や各学年のフロアに「ミニ図書館」を設置するなど、校訓『自主・協調・友愛』の精神のもと、自らに誇りをもち、「生きる力」を備えた心豊かな人間を育成する中学校です。

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