大阪市立野田中学校は、「生きる力」を備えた心豊かな人間の育成を教育目標にもつ大阪市福島区の中学校です。今回は、西田知浩校長にこれからの社会を生きるうえで必要な「生きる力」を育むための取り組みについてお話を伺いました。
地域性から生まれた子どものための防災訓練
西田校長:福島区は、子どもたちのために何かしたい、そんな大人が多い地域だと思います。そして、海や川が近く、海抜が低い土地柄もあり、防災への意識も高いです。そんな福島区に位置する本校では、区役所や消防署、社会福祉協議会、区からの選出された地域防災リーダーと連携・協力して「防災訓練」を行っています。毎年学年ごとに車いすの搬入体験から起震車体験、避難所運営ゲームなど、子どもたちのためにさまざまな訓練をしていただいています。平日に災害が起きたとき、高校生や大人は通学や通勤で区を離れていることが多いため、中学生は貴重な人員となります。有事の際に進んで行動できるよう、子どもたちも真剣に取り組んでいます。
地域への愛着が自主性を育てる
西田校長:子どもたちには、地域のみんなに愛されているんだよ、ちゃんと応えてあげないとあかんで、とよく伝えていますが、子どもたち自身も、地域への思いは強いんじゃないかなと思います。近郊の公園のごみ拾いや遊具拭きを有志が行う「クリーン大作戦」には、各学年約100名のうち約40名が参加してくれました。自主的にこんなに多くの子どもたちが参加してくれたのは、地域への恩返しがしたいという思いからくるものだと思います。こういった経験は学校生活だけでは得られないので、子どもたちにはこの思いを大事にしてほしいです。
0から1を生み出す体験を通じて主体性を育てる
西田校長:大人たちの想いをまっすぐに受け止める素直さや、みんなで協力しあうことができる協調性があるところが本校の子どもたちの特長だと思います。しかし、これからの社会を生きていくうえでは、もう一歩踏み込んで自ら考えて行動する主体性が必要だと思います。そこで、子供たち自身が中心となって取り組み、成功体験や達成感をもつことができるカリキュラムや、学校行事の構築を行っています。そこで生まれたのが、1年生を対象にさまざまな企業から課題を提供してもらい、子どもたちが解決策を考える「課題解決学習」と、2年生を対象に身の回りにある課題を探し解決策を考えること通じて、0から1を生み出す体験をする「探究型教材学習」です。子どもたちにとって、主体性をもつことはもちろんですが、日常生活そして社会に目を向けるきっかけになってほしいです。
子どもたち自身で作り上げる学校行事から得られるもの
西田校長:学校行事においても、例えば修学旅行では、行く場所や全体スケジュールは私たちが考えますが、 修学旅行中の運営や司会などは子どもたちに任せるようにしています。ただ参加するのではなく、自分たちの手でより楽しいものにできるので、思い出にも強く残っているようです。楽しみながら自然と主体性を身につけられる、いい取り組みだと思います。
ESDの視点で既存カリキュラムを棚卸し、共通認識を生み出す
西田校長:ESDにしっかり取り組めているかと言われると、まだまだこれからというのが正直なところ。すでに行っているプログラムや授業が実はESDだったりすることもあるので、まずは先生方でESDに対する共通理解をもつことが大切です。既存の授業や学校行事をESDの視点で棚卸しをして、この単元にESDのエッセンスを取り入れたらこんなことができるんじゃないかといった議論をすることで、先生方の共通理解が生まれるんじゃないかなと思います。
POINT
地域は子どもたちのサポーター
学校から一歩外に出た身近な社会である地域と連携することで、学校生活だけでは得ることができない学びや気づきを子どもたちは得ることができます。
先生間での共通理解をもつこと
ただ、ESDをやりましょうと言うのではなく、どうやったら取り組めるのか、子どもたちにどんな大人になってほしいかをすり合わせていくことで、先生間で共通理解が生まれます。
授業・学校行事のブラッシュアップがESDの近道
既存のカリキュラムをESDの視点で見てみることで、すでにESDだったものやブラッシュアップできるポイントが見つかるかもしれません。まずは、カリキュラムの棚卸しをしてみるのはいかがでしょうか。
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